大切な人とのさようなら。

昇る朝陽。

春は別れの季節とはよく言ったもの。突然に、いなくなってしまう人がいました。優しくて、一生懸命で、熱い人だった。社内の人ではないのに、あたしのことを「時ちゃん」と呼び、とてもかわいがってくれた人。大好きだった人。一生懸命だったがゆえに、いろんな渦に巻き込まれて結局、退職してしまわなければならなかった人だった。悔しかっただろう。もっと頑張りたかっただろうと思う。そういう人だから。彼はふるさとに帰って余生を過ごすとのこと。彼のこれからの人生が、この一年のように激動でもつらくもない日々でありますようにと祈るばかり。

もう3月も終わり。明日からは4月になって、新しい年度がやってくる。春だ。けれど彼とのさよならを惜しむように、雪が降った。もう一生、もしかしたら彼とは会えないかもしれない。それが寂しい。夕べ、最後の送別会をした。タクシーを降りる時、握手をしてさようならした。彼の手のぬくもり、絶対に忘れない。彼の悔しさも悲しさも全部、あたしが引き受けて、頑張ろうと思った。そう思わせてくれる人だった。