世界仰天ニュース。

雪の花。

何げなくつけてたテレビで、何げなく見ていたのが世界仰天ニュース。これの「ダニーズハウス」って話に感動したので書いてみようかと。ダニーは妻と娘と暮らす普通の人。ある日咳が出始めて、どこの病院に行っても風邪だと言われる。でもそれでも咳が止まらなくて、5年がたつ。ある日妻も咳が出たので病院に行くと、妻も風邪だと診断される。そこに来ていた呼吸器系の医師が居合わせて、待合室で咳をするダニーに気づき、ダニーを診断すると、とても治らない難病と診断される。

ダニーは妻に、自分の死が近いことを話せない。けれど刻々と死に近づいていく自分の体。そして自分の死後、家族を守るために何ができるかを考え、生きている間に家を建てようと決心する。ある街で土地を買い、建築士の義父に設計図を描いてもらい、自分で建築資材を運んで家を建てようとする。そのころ妻も娘もダニーの病気に気づき、ダニーが自分たちを守るためにしてくれていることだと気づく。ダニーは新しい土地で、近所の人々に妻と娘を紹介する。そして「自分の死後も家族をよろしく」とメッセージを残す。そのころ妻は、夫の病気を何とか治したいと病院を当たっていた。

1人きりで建築するダニーのもと、近所の人たちが次々と手伝いにやってくる。日本では今、失われてしまったような「ご近所づきあい」がここにあった。そして、妻は肺移植という手段があることを知る。今ではメジャーになったけれど、そのころ肺移植の成功率は20%。それでも、ダニーはそれを受けようと、州を離れた病院に入院し、ドナーが見つかるのを待つ。妻は仕事をして生計をたてなければならないため、ダニーと妻は離れて暮らすことになる。

そこで、街でダニーの家を造るのを手伝っていたご近所のスミス夫妻が言う。「もう会えなくなるかもしれないのに、一緒にいられないなんて耐えられない」と。それからスミス夫妻は、近所にカンパを募って、ダニーの妻を夫のもとへ向かわせる。でもそれでも、何日も仕事を休むわけにはいかないダニーの妻。またもとの家に帰ってきて仕事をしているころ、ダニーから電話。「ドナーが見つかった」と。その後ダニーはスミス夫妻にも電話をする。「私の亡き後、妻と娘を頼む」と。

飛行機のチケットが取れず、家で遠く離れた夫の無事を祈る妻。そこでまたスミス夫妻は立ち上がる。「病院に行きましょう」と。車を出してくれて、八時間かかる夫の病院まで。街の人たちは、黄色のリボンを家の軒先に飾って、ダニーが無事に帰ってくることを祈る。手術は成功。入院後、車で帰ってくるダニーと妻と娘。すると街は黄色のリボンでいっぱいになっている。みんながダニーを「おかえりなさい」と迎える。そして、志半ばで入院していたため、建築途中までとなっていた家は、隣人たちの手で無事に完成している…というお話。

たった一人のために、街のみんながこんなに寄り添ってくれる街。いい街だなと思う。あたしはこんな街に住みたい。今あたしが住んでいる街はろくでもない街。成功者をねたみ、追い落とし、頑張ろうとしている人を蹴飛ばす街。たった一人のためにでも寄り添える街がある一方で、あたしの街のようなろくでもない街がある。その差は何だろうと思う。家族を思い、人を思う気持ちがあれば、どこだって、ダニーの街のようになれるはずなのに。

写真・雪の花。