ダイスをころがせ!

timetoki2005-05-15

真保裕一さんの「ダイスをころがせ!」って小説を読みました。
痛快小説って感じかなあ〜。
でも登場人物はみんな熱くて、もう胃のあたりがキリキリ(笑)。
あたし一旦読み始めた本は、早く続きが読みたくてウズウズするから、
上下巻一気読みをしてしまいました。
今日買ってきたばかりなのに(笑)。
今日はその感動などをしたためておこうかと。

えーと、あらすじを言うと、選挙の話。
主人公健一郎は、妻子に家を出ていかれ、
職をなくしてうらぶれている34歳。
そこに、高校時代の同級生達彦が突然やってきて
「次の衆院選に出馬するから手伝ってくれ」と言われます。
達彦は、東大卒で大手新聞社に勤めていたのですが、
それを投げ打っての立候補。
カネはない、コネもない、あるのは夢だけ。完全無所属の出馬です。
かつて高校時代に達彦と女をめぐって争ったこともある健一郎は反発しますが、
いつしか健一郎も選挙という「魔物」に取り付かれてしまう…というお話。


いつ読んでも、真保さんの小説はリアリティあるなーと思いながら、
感心して読んでしまいました。
きちんと取材をして書いていらっしゃるのでしょうね。
どんな小説を書かれるときも、しっかり道筋が立ててあるから安心して読めます。
そして彼のお話は、キャラクターが熱い!
だから好きなのですよ。
健一郎も達彦も大好き。
34歳という微妙な年齢にさしかかった登場人物たちが
夢を追っていたって、理想を掲げていたっていいじゃないか…と思わせてくれました。



達彦を大勢の人が応援するようになるんですよ。
泡沫候補とは呼べなくなってしまうんです。
当然、妨害の部分も出てくるというワケで。
中傷ビラなんて当たり前。
放火や事務所荒らしといった行為まで出てきます。
それに屈することなく、戦おうとした達彦はとっても男らしい。
こんな候補がいたら、あたしも一票投じてしまいます(笑)。




この本の中には
有権者は一人ひとり、手にダイスを持っている。でもそのサイコロをふらなければ、
何も変わらない。自分が動かなければ」
というメッセージが出てきます。
若者の選挙離れは激しいです。
「今の政治家は…」などと嘆いているだけでは、
政治は絶対に変わらない。
国民が変わらなければ、今の政治が変わるワケがない。
国民が、この国に物申すことができるとしたら、
その一票なだけですから。




常々、あたしは思います。
今、高齢者福祉にどの自治体も、国も、どれだけカネをかけているか知っていますか?
民生費は何よりも高いんです。
なぜか。
お年寄りは、選挙に行くから。
高齢者福祉をやれば、票につながるから。
一方、あたしら30代の子どもなし世代は
税金は絞られるだけ絞られて、
全然見返りはありません。
なぜか。
あたしらの世代が、選挙に行かないから。
この世代にカネを落としても、自分の票につながらないから。
高齢者福祉がいけないとは言いません。
けれど、そうやって政治家たちは、自分の利益につながるところだけにカネを落とします。



青臭いかもしれません。
けれど、健一郎と達彦が二人三脚で戦う姿は
とってもかっこよかった。



注文をつけるとすれば、
ライバル候補からの妨害をもっと描いてほしかったなーと。
まあ、現実に即した小説になっているから、
当然自民党民主党共産党などというライバル候補が出てきていて、
その人たちを妨害者にしてしまうと党からクレーム…という結果になるのでしょうがね。
ならば政権A党、野党B党とかにしてもよかったんじゃないかなーと。
妨害者が実は…ってくだりがちと気になるところではありました。




あと、一番腹立ったのは、健一郎の妻の美緒!
もうこのオンナは〜!
って感じでした(笑)。
まあそりゃ、あたしが妻でも「そんなことやめてちゃんと働いて!」って言いたくなりますがねえ。
旦那の情熱、もちょっとわかってあげてほしい。
旦那が生き生きと輝く場所を提供してあげてほしい。
世の中の「妻」に言いたいこと。
あたしって理解ある嫁さんだなー(笑)。




本当は、選挙は「勝てば官軍」で、
もっともっと、汚いところもあるはず。
中傷ビラなんて生ぬるい攻撃だし、
実際は「出馬を取り下げろ。さもなくばお前の家族がどうなるかわかってるだろうな」って感じの
脅迫文まで来るというから恐ろしいです。
なぜそんなこと知ってるかって?
そりゃうちの死んだ伯父は市議やってましたからねえ〜ってことにしときましょう。




でも、何ともいえない高揚感があるのは事実です。
選挙になって、選挙事務所とか演説会とか行ったことがあるような
30代までの人っています?
あたしは行ったことあるんですが、
なんつーか、当選確実になって泣き崩れる女の人がたくさんいるのも
何となくわかる気がする。
やっぱり選挙は魔物でしょう。




それでもやっぱり、選挙は行くべきです!
あたしは絶対毎回行ってますよ!
ちなみに、どんな選挙でも最近は「期日前投票」になっていて、
ほとんどの場合告示(公示)日の次の日の午前八時半から午後八時まで
最寄の市役所とか役場でやってるはずです。
はがきがなくても行けます。
仕事帰りにでもいけます。
理由は選挙当日レジャーでも何でも結構。
すごーくカンタンです。
さ、あなたの一票を政治に生かしてみましょう!



と、思い切りダイスをころがせ! の受け売りになってしまっていますが(笑)。